隅々まで楽しみたい物語が、ある
Artiste-アルティストー

アルティストのココが好き③え?どういう物語?…至高のスルメ漫画

フランス・パリを舞台にしたさもえど太郎先生による漫画”Artiste”について綴ります。

ココが好き!シリーズ今回は、ジャンルすら特定させない!個人的には攻めに攻めたEpisode.1について。
娯楽の多くあるこの時代、作品を手に取ってもらうきっかけはギュッと短くまとめるのが王道です。
YouTubeのサムネイル然り、前奏を置かず歌い出しから始まる音楽然り…。
漫画は、見出しや第一話で読者をどこまで惹きつけられるかが大事なのではと勝手に思っていました。
そこでこのアルティスト。
様々な視点や時間軸が登場して物語のいきさつを説明しているようですが、
謎な部分も多くて・・・
Episode.1を読んで、ここまですっきりしない漫画も珍しいと思いました。

え!この作品ってどういうこと?
門外漢のマルコが料理界に革命をもたらす?
調理場で起こるミステリーシリーズ?
・・・とか初見はそんな感じでした。
アルティストの魅力の一つであるコメディなタッチがEpisode.1ではあまり登場しないので、ジルの表情の暗さと相まって本気で若干ホラーなのです。

その中で、癒しの存在はマルコ。
戦場のように荒れ狂う現場をのらりくらりとうまくやっている感じとか、ジルの側について作業を眺めたり教わっているのとか。
読者と同様に新参者で状況をよく知らないであろうマルコが、読み手にとっての癒しです。

ただし、このEpisode.1で読むのを止めてしまうのはすごくもったいないと断言できます。
単行本一巻を最後まで読めば今後の展望がなんとなくわかるし、読後感もすごくいい。
そしてさらに巻数を追っていくと、一巻の時点での何気ない会話がのちに語られる物語の伏線になっていたり、ネコがどんどん可愛く見えていったりして何周でもしたくなります。
漫画のレンタルや漫画喫茶など漫画を手元に置かなくても楽しめるこの時代、それでもこの作品は今後も何度も読みたいし作者さんを応援したいと思い、筆者はレンタルで何周かした上で購入することを決めました。
ど派手なアクションはないし穏やかな物語ではあるけれど、節々で異国の風を感じさせてくれたり、人生の助言を与えてくれるようなところが合っていたのだと思っています。あとは、まっすぐに生きている登場人物たちに誤解し合うことはあれど救いがあるところも好きです。

これからアルティストを読む皆さん!
どうにかしてEpisode.3まではどうか読み進めてください。
主人公が気に入らない、誰か分からない、見えない等あるかもしれませんが、少なくともスッキリしますよ。
ちなみに、単行本一巻の背表紙にはどういう物語かが分かりやすく説明されています。
でも、この情報がなくてもミステリーのように作品の輪郭が徐々に明らかになっていくのも読書の楽しみだと思いますので、まっさらな状態で楽しんでもいいよなぁと思います。
一度、漫画でパリを覗きに行ってみませんか?

ありがとう、アルティスト
ありがとう、さもえど太郎先生

今回はここまでです、またね。